富山の魅力づくりは成功体験の積み重ねから

提言●景観と街づくり

富山市副市長
神田 昌幸さん

インタビュアー
中村孝一(グッドラック発行人)

 

中村 富山城址公園の整備について、再び委員会で検討されることになったそうですね。

神田 現在、途中段階になっている城址公園の北半分の整備について、歴史的な検証も踏まえながら、考えていきたいと思っています。横を流れている松川を含めた、ウォーターフロントとしてのあり方も考えていきたいですね。

中村 松川貯留管が整備されることになり、平成29年に完成予定とお聞きしています。水位が一定化すれば、松川を活用する幅が広がりますね。

神田 中村さんが、水辺の理想的な活用例としてあげておられるアメリカ・サンアントニオの場合、大きなベースになっているのは次の2点。
 治水の問題をクリアしたことと、水辺空間と商業空間との距離が非常に近く、間に車の通る空間がないことです。松川の場合、県庁や県警との間に車道がありますが、その道を廃止するのは難しい。方法としては、例えば、この道を石畳に変えることで、誰もが通れる車道というイメージを一新する。その中で、車が通れる時間帯を朝夕に限定するといったことも考えられるかもしれません。

中村 富山らしい景観を創出することが、観光客はもちろん、県民・市民にとっても非常に大切なことだと思うのですが…。

神田 富山の場合、終戦2週間前の爆撃で歴史的な建造物がすべて燃えてしまったという現実があります。ですから、今残っているものを生かしていくことが大事だと思います。また、お城があり、その周りが戦災復興している地域というのは、あまり例がありませんので、そのメリットを生かしていくべきでしょうね。

中村 富山市は神通川から生まれた街ですので、その名残を残す松川とこの城址公園周辺には多くの歴史があります。この歴史を、もっと実感できたらいいのですが…。例えば、明治・大正期、この付近にあった建物をいくつか再現すると、当時のイメージがぐっと広がりますよね。

神田 景観の基本となるのは、「オーセンティック(本物)」であること。再現するからには、いかに本物に近づけるかが、街の品格を高める重要な要素になります。著名な建築家、辰野金吾が設計した建物もあったということですが、当時の写真や設計図を検証してみるのも面白いかもしれません。まず、いろんなことを面白がってやってみる——。そこから、創造性や文化が生まれてくるんです。

中村 さて、北陸新幹線の開業が2年後に迫り、東京へのストロー現象が懸念されていますが…。

神田 そうですね。東京へ行くビジネスマンには便利ですが、観光客や宿泊客の面では、富山はマイナスになる可能性もあると思います。実際、九州では新幹線ができたことで、福岡へ一極集中となり、ホテルや旅館がやっていけなくなった例もあります。

中村 そういったことからも、ますます富山らしい魅力づくりが大切になってきますね。

神田 城址公園では、やぐらを持ってきたり、地下駐車場の入り口を城門風にしたりと、少しずつ整備が進んでいます。その中で、最初に〝整備ありき〟ではなく、城址公園のあり方、位置づけをみんなでもう一度考え、ふさわしい形にしていこうというのが、今回、委員会を再び立ち上げた主旨。ここでまず小さな成功体験を積み重ね、大きな枠組みでの整備につなげていくことが大事なのではと思っています。


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