国際観光都市富山に向けて 愛する富山の価値を海外へ発信したい
ジョセフ•ランゾウ稲田 さん (富山市政策参与・哲学博士)
米国カリフォルニア州出身。1948年11月11日生まれ。
ケンブリッジ大学クレアホールカレッジ終身特別研究員。カリフォルニアにて長年、哲学の教授職を務め、倫理と世界の宗教についての研究成果に対し、数多くの国際的な賞を受賞。2011年、富山市に移住。2012年より現職。趣味は、料理、釣り、バードウォッチング、海外旅行など。
私と富山のつながりは、チャップマン大学時代、教え子であった相澤行廣氏が富山市出身だったことから始まりました。彼の卒業後も交流は続き、日本を訪れた折には、富山はもちろん、京都、鎌倉など仏教と関わりの深い場所に連れて行ってもらいました。
もともと日本の文化や宗教に興味があったのですが、富山市とその自然にとても感銘を受けました。そして、環境倫理に関するドキュメンタリーフィルム「セイクレッド・プラネット」を制作するにあたって、富山に焦点を当てるアイディアがひらめいたのです。
このフィルムはアメリカ、カナダでも撮影を行い、富山では県知事をはじめ富山市長、経済人、科学者にお話を伺っています。持続可能な社会とは、その土地の政治、経済、宗教など全てが関係しているものなのです。
2年前、結婚を機に妻の住む富山市へ移り住み、現在は市の政策参与として、国際観光、国際交流についてアドバイスをさせていただいています。ポイントは、心に残る体験をいかに富山でしてもらうかということです。富山にはたくさんの宝がありながら、海外の人には知られていないものが多く、もっと情報を発信する必要があります。そこで、博物館としてとても質の高い立山博物館の英文パンフレットを、県からの要請で作成しています。
今、富山市では中心部のウォーキングマップを英語版で作る予定があり、その支援もしています。富山城、松川のあたりは歩くのに絶好の場所ですね。行きは歩きで、帰りは遊覧船で帰ってくる、そんなコースもあってもいいです。
また、もっと案内板を作って、歩く道筋をつけることも必要だと思います。例えば、昔、富山城の敷地はとても広大なものだったそうですが、そのことを実感できるような目印や看板があるといいですね。その時には、松川をpine tree riverと表記した方が、英語のキャッチとして素敵かなと思います。
アメリカのサンアントニオにも幅の狭い川があり、これをうまく生かして観光客を呼び込んでいます。松川もサンアントニオのように、川沿いにレストランやお店が連なって、アートスタジオができて、音楽もあれば、とても楽しい雰囲気になるでしょうね。街中に芸術家たちが帰ってきてほしいです。
それにしても、松川の遊歩道が片側しかないのは残念です。初めて見た時、なぜこっち側がないの?と思いました(笑)。
富山市中心部には、磨けばさらに光る資源がたくさんあります。今後はこれらの開発が最も重要な課題です。愛する富山のために、海外からの視点でどんどん提案して行きたいと思っています。
▲松川
▲サンアントニオ