旧馬場家住宅(富山市東岩瀬町)

北前船主・廻船問屋「岩瀬五大家」筆頭の屋敷

 昨年(令和3年)1月から公開が始まった旧馬場家住宅は、江戸後期から活躍した北前船主・廻船問屋、馬場家(屋号「道正屋」)が事業を営んだところです。馬場家は、「岩瀬五大家」の筆頭に挙げられ、北陸の「五大北前船主」のひとつにも数えられました。明治中頃には北前船から汽船経営に舵を切り、近代的な海運業者へと成長しました。
 また、九代当主・道久の妻・はるは、旧制富山高等学校(現・富山大学)設立のために多額の寄附をした人物としてよく知られています。
 住宅母屋は、当家隆盛の基礎を築いた七代当主・久兵衛が建てたと伝えられ、明治6(1873)年の大火後に、以前の部材を用いて大改修したものと考えられています。
 室内は、長さ30mもある「トオリニワ(屋内通路)」、豪壮な梁組を見せた33畳の「オイ(広間)」、洗練された書院造りの座敷で構成され、庭もあり、東岩瀬町の中でも最大規模の住宅です。
 また、敷地内には3階建ての前蔵・壱番蔵・弐番蔵・2000石の広大な米蔵・西門及び西塀が現存し、廻船業が盛んであった当時の面影を残しています。
 馬場家から寄贈を受けた富山市が、約3年かけて修復・耐震工事を行ないました。
 なお、近くには、先に公開されてきた北前船廻船問屋・森家(四十物屋仙右衛門)の住宅もあり、合わせて見学するのがおすすめです。

参考/案内板、他

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